〜教科にプログラミングをどのように位置づけるか〜
「プログラミング教育」と教科での「プログラミングの体験」は違う プログラミングが流行っていますが、おかしな実践が散見されます。 いまこそ理科を行う原理・原則に戻りましょう。… プログラミング教育と、教科で行うプログラミングの体験は違うのです。
1.理科の学習内容が最優先
理科の時間は第3学年から第6学年まで31の内容をトータルで405時間かけて学びます。もし、プログラミングの体験をするならば、他の学習内容から考えても2〜4時間という時間が一般的です(できれば405時間の外でね!)。やる場合、全体の学習の1%にも満たないプログラミングの体験は、少しできればよいのです。なんでもかんでもプログラミングと絡め、過度にプログラミングに時間をかけて、本来の学習内容が疎かになるような、本末転倒な事態にならないように。
2.そのプログラミングの実践、理科の学習内容と関係あるのか再確認
理科の時間では、理科の学習内容の文脈の中でプログラミングを体験しても良いが、理科の時間で行う以上、理科の学習内容を逸脱したり、プログラミング自体を目的にして学習したりする時間ではありません。プログラミングを体験することで、理科の本来の学習内容が拡がることが大切です。 •よい事例: 理科の学習内容を通してプログラミングを体験する •ダメ事例: 理科の時間にプログラミング教育をする 理科の時間にやるべきことは、理科教育 です。
3.実践のどこでプログラミング的思考をしているのか意識して授業をする
例えば、単にリモート操作をして遊ぶだけの教材では、学びになりません。順序性や条件分けなどの考え方が大切なのに、教材選択、授業の展開次第では、楽しい時間ではあっても学びになっていないことがあります。貴重な限られた授業時間です。教科の学びに繋がることが大切です。 なお、わざわざプログラミング的思考 という言葉を使わなくても、理科は、科学的思考 という言葉があります。
4.プログラミングの導入自体が目的になっていないか
理科の授業の中でのプログラミング体験は必須ではありません。 理科の学習内容の文脈の中でプログラミングを体験しても良いが、本来は教育課程全体で位置づけられているもので、他の学年、教科、領域で行なってもいいのです。つまり理科の時間でやってもやらなくてもいいのです。理科の時間ではやらないという判断も大切です。
5.第6学年「電気の利用」で行うなら、電気の省エネや効率的な利用がテーマになる
「電気の利用」なら、「電気を使って動かしているプログラミングの機器なら何でも単元内で扱う対象になる」という考えは間違いです。 なぜならは、「電気の利用」では、電気の変換や省エネについて扱うため、センサーを使ってプログラミングの体験をする場合は、電気の省エネや効率的な利用がテーマになるしかないからです。 つまり、車を使ってプログラミングで動かすとか、日常で便利なものをプログラミングで作るとか、安全のために役に立つものを作るとかは、「電気の利用」の電気の変換や省エネと関係がないため、「電気の利用」では使ってはいけない教材といえます。 このような電気の変換や省エネと異なるテーマは、別の教科、領域等に委ねなければなりません。