寺本貴啓のブログ

小学校理科の「考察」「結論」「まとめ」は何が違うのか?

雨上がりの今日、女王アリの引っ越しが行われるという噂を聞いて、日比谷公園に探しに行きました。でも、全然見つからず、結局、公園内で行われていたビール祭りで飲んで帰っただけでした。さて、今回も質問が来ているようです。

寺本 先生
寺本 先生

「寺本先生がお答えします!」のコーナーでは、実際に受けた質問をもとにお答えしています。ご質問は、ページ下の「質問受付フォーム」にて常時承っています。

りか子 先生
りか子 先生

小学校理科の「考察」「結論」「まとめ」は、何が違うのかわかりません。

「考察」と「結論」は、子どもの問題解決の過程に位置付けられているものですが、「まとめ」は、主に教科書に使われている言葉で、観察や実験の最後に「覚えたり確認したい内容」を整理したものになります。授業では、「まとめ」という言葉は一般的には使いません。

寺本 先生
寺本 先生

1.「考察」と「結論」は、子どもの「問題解決の過程」に位置付けられているもの

 「考察」は、主に結果からわかったことを指します。しかしながら、単に結果からわかったことのみを書くのではなく、事実(実験方法+結果)と解釈(結果からわかったこと)の2つの要素を入れます。

 例えば、第5学年の振り子の場合、「振り子の1往復する時間は、何によって変わるのだろうか」という問題に対しての考察は、「振り子の長さ、おもりの重さ、振れ幅、それぞれの条件の違いによって振り子の1往復する時間が変わるか調べると(実験方法)、振り子の長さを変えた時だけ振り子の1往復する時間が変わった(結果)。このことから、振り子の1往復する時間は、振り子の長さだけ関係があることがわかった。(結果からわかったこと)」になります。考察を書いた際には、自分のの当初の予想と比べてどうだったのか、結果に基づいて(結果を証拠として)書いているのか、改めて見直すと良いでしょう。

 なお、考察をノートに書く際に、感想(例えば、「自分の予想と合っていたどうか」とか「実験をやってみてどう思ったか」「自分自身の観察や実験への取り組み方の振り返り」)を書き込んでいる事例を見ます。これについては、先生によって指導が異なりますが、私の場合は、感想は考察に含めず、結論を書き終えた後に別に感想を書かせます。なぜならば、問題解決の過程では、あくまでも「問題を解決する際にどのように行っているのかという手順や過程を説明する」のあであって、その際に「自分感想を書かせる」ことは、本筋からずれて脱線していると考えるからです。

 一方、「結論」は、問題に正対した答えを示すものです。

 例えば、第5学年の先の振り子のを例にすると、「振り子の1往復する時間は、何によって変わるのだろうか」という問題に対しての結論は、「振り子の1往復する時間は、振り子の長さによって変わる」になります。

2.「まとめ」は、主に教科書に使われている言葉で、観察や実験の最後に「覚えたり確認したい内容」を整理したもの

 「まとめ」は、教科書にで使われている独特の表現で、問題解決の考察や、教えなければいけない知識など、観察や実験の最後に教科書として「これだけは教えてください、これだけは確認してください」というものをまとめたものになります。

 例えば、先程の考察も含まれますし、実験で直接調べていない「振り子が長いほど1往復する時間は長くなる」などを入れても構いません。

教科書が教えることを最後にまとめてくれていると、教える方は楽ですよね?

寺本 先生
寺本 先生

3.授業では「子どもの問題解決」を大切にすること

 小学校理科では、問題解決の過程を大切にしています。教師に言われたことをするのではなく、子ども自身で問題を解決することが重視されているのです。そのため、教師は子どもが主体的に問題を解決するために、教師主導ではなく、子どもの考えに寄り添った授業を心掛けていきます。

 なお、ここで問題解決の過程を確認しますと、

  • 自然事象に対する気づき
  • 問題の見いだし
  • 予想・仮説の設定
  • 検証計画の立案
  • 観察・実験の実施
  • 結果の整理
  • 考察や結論の導出

です。先ほどの、「考察」と「結論」は、この問題解決の過程の1つの過程になります。

 どうして教科書が「まとめ」という言葉を使っているかというと、この、問題解決の過程を通しても解決できない、考察でまとめられない「教師が教えなければいけない知識」(子どもの問題解決で触れることができないが、教えたい内容)があるため、教科書はしっかりと知識の定着も図りたいので、(「考察」や「結論」という言葉ではまとめることができないため)苦肉の策として、「まとめ」という言葉を使って整理しているのです。

 つまり、本来理科の授業時の問題解決の過程では、「まとめ」という言葉は使うことがありません。しかし、教えるべき用語などは、単元の最後にまとめとして再確認しても良いと思います。

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