夏はやっぱり水まんじゅうです。水ようかんでもなく、かき氷でもありません。水まんじゅうです。何がいいか?涼やかな葛粉で作る透明の部分ですね。みなさんは? さて、今回も質問が来ているようです。
小学校理科「思考・判断・表現」の評価基準で、何をAにすれば良いのですか?
各学年で主に育成する力「問題解決の力」が違います。それにより、「A」となる姿が異なりますが、最終的には、学級の実態で変わります。
2019年6月末に全国の指導主事対象に評価規準についての説明がありました。例えば、実際に単元計画や指導案を作成する際に、以下のような評価を作成するに当たって参考になる資料の説明でした。
評価規準に関しては、パズルのように単元に合わせて文言をはめ込むだけ。
しかしながら、具体的な評価基準に関してはこれ以降、各自治体や教科書、問題集において評価方法や基準を検討することになります。なお、文部科学省から出すものは原則B 基準。つまり、各学校(担任)や教科書会社、問題集会社がAやCとなる姿を検討するわけです。
さて、小学校理科「思考・判断・表現」の評価基準どうするか?小学校理科の「思考・判断・表現」の評価は、各学年に設定された以下のような「問題解決の力」があるかどうかで評価します。
ここでは、第3学年の思考・判断・表現の観点である「問題の見いだし」について考えてみましょう。
新学習指導要領の第3学年の各単元の目標について、以下のように書かれています。
~について、差異点や共通点を基に、問題を見いだし、表現している。
このように学習指導要領に掲載されているのはB基準であり、ここからAをどうするか検討する必要があります。2019年2月にあった、総合初等教育研究所の教育セミナーの研究報告では以下のようにAを設定しました。
~について、差異点や共通点を基に、より妥当な問題を見いだし、表現している。
ここで示されている「より妥当な」とはどういうことでしょうか。ここでの、より妥当とは、「実証性、再現性、論理性 、合理性 」があり、特に「検証可能である」こととしました。具体例で考えてみましょう。
第3学年の「風とゴムの働き」の単元で、指導者がうちわで車をあおぎ、風の力を変えると車の進む距離が変わる様子を児童に見せた。そして、 児童一人一人に、その様子から見いだした問題をノートに表現させたという実践です。
最終的に学級の問題として、「風の力によって、車の進む距離はどのように違うのだろうか」にしたいのだが、実際には子どもたちは様々な疑問を持つことになります。子どもたちの表現を上述の基準に当てはめてみました。
ここで留意したいことは、「授業の問題と異なる問題であっても評価すべきである」ことです。子どもにとっては、教師が想定して考えている問題は知る由もありません。子どもから出てこないと言うことは、教師側の導入が悪いかもしれません。本来、「問題の見いだし」は、子どもがこれから先問題を解決する際に自分自身で疑問を持ち、子ども自身で追究する問題を設定してほしいという意図です。そのため、「授業の問題と異なる問題であっても評価すべきである」ということです。
また、教科書に載っているような問題は「A」であり、子どもが個々で考えた問題を発表させ、教師がそれらの問題を紡いで教科書に載っているような問題(これから学級として追究する問題)を設定していくことになります。つまり、すべての子どもに最初から「A」となる問題を期待するべきではなく、学級で追究する問題と分けて考えるべきです。
問題の見いだしを何度か繰り返していくと、問題の作り方みたいなものを子どももわかってきます。可能な限り多くの子どもが「A」である問題を自分で見いだせるように導入の工夫や、良い問題の価値付けをしたいものです。