1人1台端末の活用による理科授業の3つの変化
1人1台端末の活用を進めていくことで、理科の授業がどのように変わるのかについて、以下の3つに整理して説明します。
(1)子どもに委ねた学びが増える(「教師が介入しない」意味ではない)
1つ目は、子ども個々の主体性や学習状況に合わせた学習の幅が拡がることです。これまでの授業では、紙ベースの教科書やノート、問題集等を活用して、限られた情報の教材を用いて学んできました。そのため、手元の資料に載っている以上の情報は授業中では調べることが難しいことから、新たに調べたいことがあるならば、授業後や後日に図書館の資料やインターネットから調べていました。しかしながら、これからの1人1台端末の時代を迎えるようになれば、私たちが何か調べたい時にすぐにスマートフォンを使って調べているように、リアルタイムで子どもが欲しい情報を取得することが可能となります。
また、子どもの学習状況に合わせて多様なアプリや問題集等を活用して、子ども個々の状況に応じて問題を提供することが可能になります。これまでは、学習者の理解状況にマッチングしていなくても皆同じ問題集を使用していましたが、これからは個々の学力差が激しくても自動的に個々に合った必要な情報(子どもに合った問題)を提供することが可能になります。
このように、子ども自身の判断で必要な情報を調べたり、子ども自身の理解状況に合わせて学びを強化したりする、「子どもに委ねた学びが増える」ことが変化の1つといえるでしょう。
(2)気づきが増え、精緻にみられる
2つ目は、理科の観察や実験を行う際に、これまで以上に記録がしやすくなることです。これまでは、1人1台端末のようなものがなかったために、記録する際に手書きで絵を描いたりその様子を文章で表現したりしていました。しかし、このような方法では、その記録した段階ですべての情報を書き留めているわけではないためにすでに情報が欠落していました。しかし、これからの1人1台端末の時代を使えるようになれば、写真や動画で、早く、際限なく記録する事が可能となり、精緻に実験記録を残すことができます。写真や動画を使えると、実験中の一瞬の変化を動画に残すことで何度でも見ることが可能となります。また、これまでの手書きの時よりも非常に多くの情報を残すことができます。つまり、これまで気づけなかったものが気づけるようになり、観察や実験の結果をより精緻に見て判断することができます。
このように、観察や実験の記録が簡単になり、これまで見えなかったものが見えるようになることで、より精緻な結果や考察を導き出すという、「気づきが増え、精緻に見られる」ことが変化の1つといえるでしょう。
(3)子どもの理解度がより見やすくなる
3つ目は、子どもの学習評価をする際に、見取りがしやすくなるということです。これまで子どもの学習状況を調べる場合、ノートやテスト、授業中の生徒の様子から判断をしてきました。しかしながら、これからの1人1台端末の時代を迎えるようになれば、子どもの学習状況が様々な場面で記録を残すことができるため、より見取りやすくなります。例えば、子どもにデジタル問題集をさせることを想定してみましょう。これからの時代は、子どもの解答の正誤をAIが判断し、次から次へと問題を出題していくことができます。そして、どのような問題が苦手なのか、間違いの特徴は何なのかなど、視覚的に正誤の結果やその分析が整理されるようになります。それに伴い教師の評価についても、これまで時間がかかっていた情報収集がより簡単になります。また、子どもの学習実験や観察の過程についてどのような点に着目しているのか、どのように考えているのかという記録が残せるため、これまで見取りにくかった「学習過程の評価」も記録として残しやすくなり、評価だけでなく指導にも活かすことが可能になります。
このように、子どもの刻々と変化する思考の変化の様子が記録に残しやすくなることにより、「子どもの理解度がより見やすくなる」ことが変化の1つといえるでしょう。
6つの”使う目的”から考えよう
小学校理科で1人1台端末を使う際、共通の使い方以外に6つの”使う目的”からを考えるとわかりやすいです。
教科の特性があります。理科は記録したものの「確認の仕方」が多様ですね。
詳しくは、YouTube 動画でどうぞ。
< https://www.youtube.com/watch?v=CEtZoi3RKTg >