寺本貴啓のブログ

ノートへの結果のまとめ方は、教師から表を渡した方がいいのか。また、黒板の結果まとめ方にはどんな方法があるのでしょうか?

旅行に行くのはどこがいいですかと聞かれれば、私は「長崎(市)」と答えます。雰囲気や街の規模が”ちょうどいい”のです。長崎のおすすめは、涼しい夜のぶらぶら歩きです。さて、今回も質問が来ているようです。

寺本 先生
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「寺本先生がお答えします!」のコーナーでは、実際に受けた質問をもとにお答えしています。ご質問は、ページ下の「質問受付フォーム」にて常時承っています。


りか子 先生
りか子 先生

ノートへの結果のまとめ方は、教師から表を渡した方がいいのか。また、黒板の結果まとめ方にはどんな方法があるのでしょうか?

黒板に書く内容の役割と、ノートに書く役割の違いをお分かりでしょうか?役割の違いを意識すると、小学校理科で何を板書し、何をノートに書くのかがわかってきます。

寺本 先生
寺本 先生

1.ノートは学習者自身の思考過程を整理するもの、板書は学級で検討した過程を整理するもの

 ノートについて、板書を写す事に必死で、手の運動になっているのではないか?と思ったことありませんか。また、写した後全くノートを使わず、何のために書いているのか価値がわからないと思ったこともなかったでしょうか。

 これからは、子ども一人一人の考え、表現が大切になり、評価もしていくことになります。したがって、ノートは、学習者自身の思考過程を整理するために使います。そのため、無目的に板書を写しません。写さない内容もあると思います。

 まず板書は、基本的に問題解決の過程で書いていく事になります。ここでのポイントは、「学級の考え」を整理しているということです。

学年、内容にもよりますが、例えば、

【板書の場合】
0.単元名…毎回書く、日付や気温、天気などがあっても良い。

1.疑問(口頭のやりとりで済めば不要)…子ども個々が考えた問題は大体こちらがほしい完璧な問題はできないため、学級として共有の問題を設定する際は、問題の見いだしの前の段階の子ども個々の疑問や、考えた問題を視覚化する意味で、簡単に整理する必要があります。そこで、複数人に聞いて、子ども個々の荒い問題を紡いでの次の学級の問題に繋げます。

2.問題…学級として何の問題を解決するのか方向性を決めるために、個々で考えた複数の荒い問題を紡いで学級としての問題を書きます。ここでは、大体教科書に載っている問題に誘導していくことが一般的だと思います。ノートと違い、自分の考えた問題と異なる場合も十分あります。

3.予想…学級全体として、どのような予想が出ているか、お互い予想を共有し、これから行う観察や実験の視点を増やすために、さまざまな予想を整理します。ノートと違い、自分の予想以外のものも書かれているところが異なります。

4.実験(観察)方法…板書にする「実験(観察)方法」は、どの程度書くかは人によります。基本は、まず子ども個々に実験方法を考えさせた後に、個々が考えた複数の荒い方法を紡いでいき、手順や観る視点、注意点などを子どもと話し合いながら、実験方法を整理していきます。書く内容は、それ以外に、実験道具のセッティングの図を黒板に描いたり、拡大コピーしたものを貼ったりする場合もありますし、教科書を見て済ます場合もあります。

4.5.実験結果の見通し(口頭のやりとりで済めば不要)…実験結果の予想のこと。主体性をもって実験に取り組むには、実験結果の見通しをすると良いです。ここは、「実験道具を使った実験をしたら、自分の予想が正しいとすると、どんな結果になるか」考える場面です。したがって、上述の「予想」とは違います。 例えば、水溶液の性質の単元では、銅像に縦の縞々がある写真を見る→問題「水溶液で金属は溶かすのだろうか」→予想「銅像は酸性雨で溶けていると思う」→方法:薄い塩酸に金属を入れて確認→実験結果の見通し「(銅像は酸性雨で溶けていると思うので)塩酸は金属を溶かすと思う」→…このように、「予想」と「実験結果の見通し」は異なることがわかります。

5.実験(観察)結果…学級全体としてどのような結果が出たか整理します。一般的には班ごとの結果を整理することが多いです。

6.考察…結果から学級として共通理解できる考察を整理します。

7.結論…問題に正対する結論を整理します。

【ノートの場合】
ページが余っても、見開きで使い始めると、使いやすい。
0.単元名…1問題解決に1回で良い。日付や気温、天気などがあっても良い。

1.自分の疑問…問題をつくるにあたって、発見したたくさんの疑問がでる場面なら、メモとして書くと良い。

2.問題…疑問の中から自分がこれから解決していきたい問題を表現する。自分の問題なので、「〜なのだろうか」という形で書きます。

3.予想…自分の考える予想を書きます。単に「予想を書く」のではなく、どうしてその様な予想をしたのかという「根拠」も同時に書きます。

*根拠が書けないような予想は、単なる「勘」になっているので、予想自体させません。

4.実験(観察)方法…ノートに書く「実験(観察)方法」は、どの程度書かせるかは先生の指導によります。基本は、手順や注意点、観る視点などを整理していきます。実験の図を描くこともありますが、子どもが絵を描くことに時間をかけていると、本来の時間をかけるべき実験に時間を割くことができず本末転倒になります。そのため、簡単な図で済む場合は手書きでいいのですが、複雑な図になる場合は教科書等の縮小コピーをのりで貼らせる方法もあります。

4.5.実験結果の見通し(口頭のやりとりで済めば不要)…(自分の予想通りになった場合に考えられる)実験結果の予想のこと。主体性をもって実験に取り組むには、実験結果の見通しをすると良いです。ここは、「実験道具を使った実験をしたら、自分の予想が正しいとすると、どんな結果になるか」考える場面です。したがって、上述の「予想」とは違います。 例えば、水溶液の性質の単元では、銅像に縦の縞々がある写真を見る→問題「水溶液で金属は溶かすのだろうか」→予想「銅像は酸性雨で溶けていると思う」→方法:薄い塩酸に金属を入れて確認→実験結果の見通し「(銅像は酸性雨で溶けていると思うので)塩酸は金属を溶かすと思う」→…このように、「予想」と「実験結果の見通し」は異なることがわかります。

5.実験(観察)結果…自分が行った観察や実験でとしてどのような結果が出たか整理します。一般的には班ごとの結果を整理することが多いです。

6.考察…自分たちで出した結果から何がわかったか考察を書きます。学級でまとめた考察を書くわけではありません。

7.結論…問題に正対する結論を書きます。

2.子どもが考えた問題や予想、考察等が板書(学級としてのまとめ)と違っていたらどうするのか

 子ども自身で書いたものは消さないように指示しておき、必要ならば色ペン等で修正させることが必要です。

 子どもの主体性の重要性を考えると、子どもが考えたことをノートに整理させることが重要になります。そのため、子どもが考えた問題や予想、考察等が板書(学級としてのまとめ)と違っていることも多々あります。

 子どもが考えた問題や、予想、実験方法や考察等、ノートに書いたことは後で評価するときに使います。そのため、学級で問題や、予想、実験方法や考察等を整理した際に、子どもが自分の間違えた物を消して学級で整理した物に書き換えることがあるので注意が必要です。

3.結果の表を配るかどうかは”表を書くことに学習上の価値があるか”、”表を書くのに時間がかかるか”で考える

 実験方法をノートに書く際、「絵を描くのに時間がかかる場合」や「実験方法の絵を描くことが重要ではない場合」は、子どもに絵を描かせず、絵のコピーを配付してのりで貼らせることで済ませることもあると述べました。結果の表についても同様で、「表を描くのに時間がかかる場合」や「表を描くことが重要ではない場合」は、結果を描く表を配れば良いです。

4.結果のまとめ方の基本は”事実のみを書く”

 結果というのは、「事実のみ」を指します。例えば、振り子の実験で1往復の時間を計る実験を行った際に、「○秒」が結果になります。そのため、その先の「振り子の長さによって1往復する時間は変わる」というような、「結果からわかること」は書きません。「結果~わかること」は考察の中に含まれます。

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