寺本貴啓のブログ

小学校理科で「見方」を働かせると何が変わるの?

 先日、「人が素手で握ったおにぎりは食べられるか?」ということが話題になりました。昔、私は普通に食べていましたが、最近は家族が握ったものでも受け付けない人もいるようです。嫌いな人が握ったおにぎりはいや!という人もいるようですが、私だったら食べられれば握るのは誰でもいいけど、時間が経ったら衛生面でちょっと嫌かも。 さて、今回も質問が来ているようです。
寺本 先生
寺本 先生

 

「寺本先生がお答えします!」のコーナーでは、実際に受けた質問をもとにお答えしています。ご質問は、ページ下の「質問受付フォーム」にて常時承っています。

りか子 先生
りか子 先生
 小学校理科で「見方」を働かせると言われるようになりましたが、それで何が変わるのですか?
 見方を働かせると、子どもが対象をより精緻に見ることができる良さがあります。授業づくりについて私は、子どもに見方を働かせたいという目的が先に来るのではなく、1.教師が問題を見いださせる際に、よりクリアな問題を見いださせるように意識した授業ができる、2.問題解決の過程で教師や子どもが解決すべき問題がはっきりする、という、教師の授業づくりにおいてメリットがあると考えます。
寺本 先生
寺本 先生

 

1.「見方」は問題の中に含まれている ー 問題づくりは大丈夫?

 見方について「問題を作った時点で、問題の中に見方が働いている」と言われます。実際、主な「見方」は領域ごとに決められており、領域(単元)を通して見方を働かせることになります。そのため、授業(問題解決)のメインである、「問題」の中に見方が入っていないと、その先の授業で全く見方を働かせていないということになります。つまり教師は、問題に見方が含まれるように問題の設定をし、その問題を見出す際に、各領域の見方を働かせるような導入を考える必要があるわけです。

2.「見方」は子どもに働かせるが、働かせるようにするのは「教師」

  よく「子どもに見方を働かせる」とあります。しかし、実際は子どもは「見方は◯◯」というように意識しているのではなく、ある文脈で結果的に文脈に合った「見方が働いている問題」をつくり、つくった「(見方が働いた)問題」を解決するために問題解決をしています。そのため、「見方を授業で働かせる」という思いは、教師側がもつものであり、小学生の子どもがもつものではないと考えます。

 時々、教師が領域独自の4つの見方(量的・関係的、質的・実体的、共通性・多様性、時間的・空間的)を教えたり、子どもに「これは量的・関係的」いうとか、板書で「量的・関係的」と貼っている実践を見ます。しかし、そのような方法は果たしていいのか?子どもは、「量的・関係的」という見方自体をしているわけではなく、「〇〇を増やしたら、それに伴って○○も増えた」というように、「具体で考える」はずです。つまり、領域独自の4つの見方は教師が意識する視点であり、教師は授業をその視点から具体的に子どもにどのような視点で見せたいのかを考えることが重要なのです。

   教師が「授業で◯◯のように、子どもに見方を働かせたい」と意識し、教師が思っているような「見方を働かせた問題」を見いだせるように、教師が導入をしっかりと考える。 そして、子どもが「見方を働かせた問題」を見いだしたあとは、見方が含まれている問題を解決するために、今度は見方うんぬんというより、以降、教師は「問題を解決するために」授業をし、子どもは「問題を解決したい」という思いをもって問題解決をする。このように、問題解決が始まれば、見方というより、問題を意識することが多くなります。なお、問題解決を意識したから、見方は働いていないかというとそうではなくて、見方は問題に含まれているため、結果的に見方も働かせているといえます。

 つまり、問題を見いだすまでは、教師は「見方」を意識して導入をする必要がありますが、問題が設定された後は、見方というより、問題解決を意識して授業をすることになるのではないでしょうか。

  領域独自の4つの見方(量的・関係的、質的・実体的、共通性・多様性、時間的・空間的)は、上述の考え方でも成立すると考えます。しかしながら、それ以外の見方(例えば、原因と結果、定性と定量、部分と全体、など)は、問題に含まれるというよりは、授業の途中に出てきます。このような、領域独自の見方ではないものは、領域関係なく、授業内容から考える必要があります(問題解決を意識して授業をしていても、これらの見方は意識する必要がある)。

3.「見方」を取り入れるメリット

  教師は領域の独自の特性をより理解させるために、「見方」を働かせて考えさせたい。しかし、実際のところ子どもが「見方」を働かせる際は、「具体」で考える。このように、「見方」は教師の指導のためのものということができ、 1.教師が問題を見いださせる際に、よりクリアな問題を見いださせるように意識した授業ができる 2.問題解決の過程で教師や子どもが解決すべき問題がはっきりする という点で教師の授業が変わるためのメリットがあるといえます。

 最後に、「見方」は資質・能力育成のために働かせるものであり、あくまでもゴールは「資質・能力の育成」です。研究授業をする際に、見方・考え方を働かせること自体が目的になったり、重点に置きすぎることは本末転倒ですので、ご注意を!

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